地域から始める温かい社会づくり
小学校から私立に通う子が増えてきている
幼稚園や保育園から小学校に上がるタイミングで、私立小学校を選ぶ家庭が増えていると感じます。教育に熱心な家庭が公立小学校ではなく私立を選ぶ背景には、教育環境や教育内容の期待があるのでしょう。
小学校や中学校から私立校を選ぶこと自体に意を唱えたいわけでは決してありません。親ならばより良い教育環境を用意してあげたいと考えるのは当然だからです。
一方で、公立校に行かせたくないからという理由で私立を選ぶ家庭が増えているという流れは、地域にとって大きな損失だと感じています。
教育に意識が高い家庭が地元の公立校に残り、地域で子どもたちを育てる風土が醸成されることは、地域全体の活性化に直結するからとです。
教育を通じて地域が変わる。その可能性を私は信じているし、微力ながらその一助になりたいです。
公立校の課題と現状
現代では、学校だけで子どもたちを支えるのが難しくなっています。先生方は働き方改革の影響もあり、業務負担の軽減が求められる一方で、現場では人手が足りない状態が続いています。
また、個人情報保護の観点から、学校と地域の距離が離れがちになっています。
こうした中で、公立校の改革だけでは現状を大きく変えるのは難しいと感じています。学校そのものが良い方針を掲げても、それを支える力がなければ、実現は困難です。だからこそ、地域が学校を支える体制が必要不可欠なんです。
他校の視察から学んだこと
先日、視察に伺ったある小学校では、地域と学校が一体となって教育に取り組む姿勢を目の当たりにしました。
その学校のコミュニティスクール委員長さんは、「うちは日本一のコミュニティスクールだと思う」とおっしゃっています。PTA、寺子屋、同窓会、地域本部など、さまざまな立場の人たちが共通の目標に向かって連携しているのです。
そこで印象的だったのは、子どもたちが自発的に行動し、主体的に学んでいる姿でした。先生たちも生き生きとしており、その姿を見守る保護者や地域の方々のまなざしも温かいものでした。
このような温かい空気感が、学校全体にポジティブな循環を生んでいるのかみしれないと感じました。
この視察については、noteに投稿しました。
『みんなでつくる学校の未来:板橋第十小学校の探求発表会とCS活動に学ぶ』
https://note.com/azuazuwine/n/n70047163e4f5
地域と学校をつなぐ役割
私は、今春から「地域コーディネーター」という立場で、学校と地域の橋渡し役を担っています。今年度から学校としても力を入れ始めたのが、保護者や地域の方々に授業に参加してもらう取り組みです。
たとえば、以下のような活動をコーディネートしました:
・体力テストの補助
・ミシンや九九の授業のサポート
・読み聞かせや移動教室の支援
4月からこれまでに100名を超えるボランティアさんに授業に入ってもらい、学校を支えていただいています。この取り組みを通じて、地域の人々が学校に関わる機会が増え、教育に関心を持つ人も増えています。
温かい声を集めて届ける
授業に参加したボランティアの方々には、アンケートをお願いしています。これも新しい試みですが、ふたを開けてみると、学校への感謝や応援のメッセージがたくさん寄せられました。
さらにこれらの声を、副校長先生を通じて校長先生や現場の先生方に届けると、先生方から「励まされました」と、とても感激されました。
学校への声の多くは、残念ながらクレームが占めることが多い現状があるんです。良い評価をわざわざ電話してくれる人はそういませんよね。
「ありがとう」「応援しています」「先生たちの大変さがよくわかりました」というボランティアさんの声をフィードバックすることで、先生方の自信とモチベーションと意識が変わり始めているように感じます。
こうした小さな声を積み上げていくことにより、学校全体の空気感が変わり、先生方が安心して新しいことに挑戦できるようになると私は信じています。それによって、子どもたちがもっと伸び伸びと学ぶことができるようになるはずです。
温かい社会を創るのはまず地域から
地域の中には、教育に関心を持っている方が一定数います。実際、この半年間の活動を通じて、そうした方々の存在を実感しています。
地域の人に学校現場に日常的に足を運んでもらう機会を増やすことで、通っている児童のみならず地域の人にとっても、学校をもっと身近で開かれた場所にしていきたいです。
地域全体で子どもたちを育てる温かい風土を作り、子どもたちが自分らしく成長できる環境を作っていきたいです。
地域の子どもたちと大人がつながり、お互いに顔見知りが増えることは、いざという時の防災に子ども側にとってだけでなく、大人自身にとっても必ず役立つと思うんです。
温かい社会を創るのはまず地域から。そんな想いで今後も「地域コーディネーター」として、小さな取り組みを一つずつ積み重ねていきたいです。
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